社会福祉法人 うきは市社会福祉協議会 うきはししゃかいふくしきょうぎかい
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通巻54号 平成21年8月15日発行

シリーズ「高齢者こころの健康講座」その5

みなさん、こんにちは。前回まで認知症にみられる「中心症状」についてお話しましたが、今回からはもう一つの症状である「精神症状」についてお話します。

「中心症状」は認知症の方皆さんにみられる症状でしたが、「精神症状」は人によって出現したりしなかったりします。それでも半分以上の認知症の患者さんには何らかの精神症状がみられると言われています。

精神症状の主な内容としては、「幻覚」「妄想」「怒りっぽさ」「不安、うつ症状」「睡眠障害(不眠症)」「夜間の混乱(夜間せん妄)」などがあります。このように文章にすると簡単ですが、これらの症状が一つでも現れると患者さんの介護をすることがとても大変になります。

今回はこの中からまず「幻覚」についてお話します。「幻覚」というのは、ないものが見えたり(幻視)、ない音が聞こえたり(幻聴)、ない臭いがしたり(幻臭)、何もないのに体の表面や内部がおかしいと感じたり(体感幻覚)、というような知覚に異常がみられる症状です。このようなことを患者さんが訴えると家族の方はびっくりしてしまいますが、決して稀な症状ではありません。

認知症の方では幻覚の中でも特に「幻視」がみられる事が多いです。私達も時々「怖い怖いと思っていたら柳の枝が幽霊に見えた」と目の錯覚をすることがありますが、認知症の方はそのようなぼんやりとしたものではなく、はっきりとした人物や動物の「幻視」が見える様です。そのためそれが幻であると本人に説明しても中々理解することができず、本当にそこにいるものだと思って大変気味悪く思われるようです。認知症の中の「レビー小体型認知症」という病気では高率にこの「幻視」が現れます。

また幻視以外でも認知症の方には、存在しない音が聞こえる「幻聴」という症状がみられます。人の声や物音が実際にはないのに聞こえてくる症状ですので、患者さんはやはり気味悪く感じます。

このような幻覚症状が続くと本人も気味が悪くて不安に思ったり、夜眠れなくなったり、あるいは何か誤解の元となるなどして精神的に不安定になります。ある女性の認知症の方は見知らぬ女性の姿の幻視が見えたため、自分の夫が浮気をしていると思い込んでしまって大変なことになったことがありました。このような場合介護者の方もそれらの訴えに対してどう対応してよいのかわからず、その後の介護がしにくくなることが多いようです。

これら幻覚に対しては適切な治療を受けると半分以上の人では症状の改善がみられると言われていますので、幻覚症状が認められたら早めに医療機関へご相談されることをお勧めいたします。

(文責/古賀 寛 奥村病院医師)