社会福祉法人 うきは市社会福祉協議会 うきはししゃかいふくしきょうぎかい
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通巻55号 平成21年9月15日発行

シリーズ「高齢者こころの健康講座」その6

みなさん、こんにちは。前回から認知症の「精神症状」についてお話していますが、今回もその続きです。

前回は「精神症状」の中の「幻覚」についてでしたが、認知症にはその他にも色々な症状が出現します。その一つに「妄想」という症状があります。

「妄想」とは実際にはないこと、ありえないことをそれが本当だと思い込む病的な確信の事です。この間違った思い込みを本人は本当だと確信しており、修正する事は大変困難です。介護者の人が筋道立てて説明しても、怒ってみても無駄な事が多いものです。

また「妄想」には被害的な内容が多く、その中でも「もの盗られ妄想」というものが認知症の方には一番よくみられます。認知症の患者さんはよく「ものの置き忘れ」をして色々なものを紛失してしまいますが、そのように紛失してしまったものを「誰かが盗っていったのではないか?きっとそうに違いない」と考えてしまうのがこの「もの盗られ妄想」です。

この「もの盗られ妄想」の困るのは、自分の身近な人を盗難の犯人にしてしまう事です。同居しているお嫁さんや配偶者、娘さんやお孫さんが犯人にされてしまう事が多く、離れて住んでいるお子さんなどはあまり犯人になりません。患者さんの側で一番お世話をしている人が犯人にされてしまうのはお気の毒なことです。先に述べましたように否定したり説明したりしても解決せず、かえって悪化する事が多いです。

この他にも認知症の精神症状には「怒りっぽさ」というものがあります。先にお話しました妄想がもとになって家族に対して敵意を向けたり、性格がまったく変わってしまって短気になる事もありますが、多くみられるのは「もの忘れをする事による誤解や錯覚による怒りっぽさ」です。

認知症の方は食事をした事も忘れ、食後間もないのに「ご飯はまだか?」と家族に尋ねる事があります。家族は「さっき食べたでしょう」と説明しますが、その後何度も同じ様に「ご飯はまだか?」と患者さんに言われるとついつい「何度同じことを言ったらわかるの」と大声を出してしまいがちです。

ところが患者さんは食事をした事も、ご飯はまだかと尋ねた事もすっかり忘れてしまっているのです。それなのにそのように強い口調で言われると当然反発しますし、その後の家族関係も悪くなってしまうのです。

この様に「妄想」も「怒りっぽさ」も周りの人の対応の仕方を変える事によって症状が変化しますので、介護者の方は認知症の症状や対応の仕方についてある程度学んでおく必要があると思います。

(文責/古賀 寛 奥村病院医師)