社会福祉法人 うきは市社会福祉協議会 うきはししゃかいふくしきょうぎかい
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通巻57号 平成21年11月15日発行

シリーズ「高齢者こころの健康講座」その8

みなさん、こんにちは。認知症の「精神症状」についてお話していますが、今回はその中の「せん妄」についてお話します。

「せん妄」という言葉は医学用語で聞きなれない方も多いと思いますが、これは多少ぼんやりとした状態の時に混乱や興奮をしたり、あるいは反対に過度に大人しくなってしまう状態のことです。 それまで自宅で特に問題なく生活していた認知症の方が、何かの病気のために入院したり、あるいは施設に入所した時などに、特に夜間になると「自分の財布が盗られる」とか「(亡くなっている)父親が迎えに来る」等とつじつまの合わない事を言って騒ぎ始めるのがよく見られる光景です。

家族や周りの方は「急に認知症が進んでしまった」と驚かれることが多いのですが、退院・退所して自宅に帰ると元の患者さんの姿に戻ったりします。このように急に認知症の症状が変化した時は「せん妄」を起こしている可能性が高いのです。

その他「せん妄」は午前中と午後や、あるいは昨日と今日とで症状が大きく異なるなど、時間の経過の中で状態が不安定であったり、本人がまとまりのない事を言った事を後で憶えていない、といった特徴がみられます。

認知症の方にはこの「せん妄」が比較的高率に出現しますが、先にお話しましたように環境が変わった時や何かの身体の病気が生じた時などに起こりやすいものです。また昼間よりも夕方から夜間にかけてみられることが多いので「夜間せん妄」と呼ばれることがあります。

「せん妄」への対処法ですが、本人はぼんやりとして混乱した精神状態にありますので、説得したり叱責してもほとんど効果がありません。混乱しているので何かの物にぶつかったり、つまずいて転んだりしないように危険なものを周りから取り除くことが大事です。そして治療は、まずせん妄の原因がはっきりしている時にはそれを取り除くことが第一です。

肺炎や脱水症のためにせん妄を生じているときは、抗生物質の投与や点滴などの治療を行います。またストレスを感じないような環境整備をすることも必要です。夜間興奮して眠れないと翌日の昼間に眠たくてウトウトとしがちですが、そうならないように昼間しっかりと起こしておくことも大事です。

それでもせん妄がうまくコントロールできない時には少量の向精神薬を投与します。注意しなければならないのは、不適切な睡眠薬の服用はかえってせん妄を悪化させてしまうことがあることです。薬物治療は慎重に行わなければなりません。

せん妄を放置しておくと認知症がどんどん進行してしまうと言われています。前述したような症状が見られましたら早期にかかりつけの病院か専門医に相談されることをお勧めいたします。

(文責/古賀 寛 奥村病院医師)