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通巻58号 平成21年12月15日発行 |
みなさん、こんにちは。今回は認知症の「うつ症状」についてお話しします。
最近「うつ病は心のかぜ」等と言われ、うつ病についてご存知の方も多いかも知れません。うつ病は気分が落ち込んでクヨクヨしたり、日常生活の色々な事に興味や関心がなくなる病気です。何事にも自信喪失し、時には色々な事を自分のせいにします(自責)。思うように考えたり行動することができず、しばしばイライラした気分になります。食欲は低下し、夜は不眠がちになります。
これらのうつ症状は認知症の方ばかりでなく認知症のない全ての年齢層の人に見られますが、若い人と高齢の人では症状の出方が異なります。高齢の方では気分の落ち込みが目立たない代わりにイライラ感や体のあちらこちらが不調になる症状や、意欲の低下が目立ちます。
また高齢の方で注意しなければならないのは、認知症のない人がうつ病になった時にもの忘れや理解力・判断能力の低下などといった認知症と似た症状がみられることです。これを「仮性認知症」と言いますが、うつ病がよくなるとこれらの症状もなくなります。気分が落ち込んでもの忘れがみられる人の場合、認知症の人にうつ症状が出ているのか、うつ病の人が仮性認知症になっているのかを見分けることが大事ですが、実際にはこの判別はとても難しいものです。
うつ症状の原因ははっきりしていませんが、脳卒中を起こした事のある人はうつ症状が出やすくなります。またその人の元々の性格や、人生の大きな出来事もうつ症状の出現に関係しています。最近の脳科学の研究ではうつ症状は脳内のモノアミンという神経伝達物質が不足すると生じるということがわかってきています。
うつ症状の治療はできるだけストレスを避けて過ごすという環境の調整や安静が大事で、それでも回復が乏しい時には薬物療法が必要になります。薬物療法は、以前は効果も強いけれども副作用も出やすい薬しかありませんでしたが、最近は効果もある程度期待できる上に副作用の出にくい薬が使われるようになりました。うつ症状も他の精神症状と同じようにやはり早期の治療が大切です。症状がこじれないうちに治療をしたほうが早くよくなりますので、早めの受診・相談を心がけて下さい。
今回で認知症の「精神症状」の話はおしまいです。これまでお話しました様に認知症の方には様々な精神症状が見られ介護者の方には多くの負担が生じますが、対応の仕方や治療法はその時々で異なります。早めに身近な専門職の方にご相談されることをお勧めいたします。