福祉員かわら版

通巻116号:平成26年11月1日発行

少子高齢化が進む中、どうしても高齢者を中心とした話が多いので、今回は子どもの問題について取り上げたいと思います。

日本の子どもの6人に1人は「貧困状態」

厚生労働省の調査では2009年の「子どもの貧困率」は15.7%となっており、約6人に1人が貧困状態と言われています。

子どもの貧困とは、等価可処分所得(注1)の中央値の50%以下の所得で暮らす相対的貧困(注2)の17歳以下の子どもの存在及び生活状況をいい、一般的な水準の半分にも満たない水準で暮らしている子どもたちがどれだけいるのかということを指しています。

つまり社会がますます豊かになり、一般的な水準が上がっていくのに対して、その水準から落ちこぼれてしまっている子どもたちが、実に6人に1人の割合がいるということになります。
このような日本における貧困率は左図のようにOECD平均値を超えており、世界水準でみたら高い水準であることがわかります。

<出典>ユニセフ「Child Povertu in Rich Countries 2005」および「図表でみる世界の社会問題 OECD社会政策指標」(明石書店)

さらに母子世帯においては、66%が貧困となっており、地域のつながりの希薄化や離婚・核家族化等による支え合いの減少が貧困に強く結びついていることや、1人親家庭等に対しての社会保障が十分に追い付いていない現状もうかがえます。

子どもが自立する上で必要な力とは

文部科学省の新学習指導要領では変化の激しいこれからの社会を生きるために必要な力を「生きる力」とし、その生きる力とは、確かな学力、豊かな心、健やかな体と定めています。

この知・徳・体をバランスよく育てることが大切と説いているのです。

逆を言うと、社会に出て一人前になる前に、この「生きる力」が備わっていないと、なかなか生き抜いていくことが厳しい時代であるということも言えるのではないでしょうか。

そして子どもの貧困と、この「生きる力」とは密接な関係があります。

格差と「豊かな心」

を律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など」と定義されています。

豊かな心は地域のつながりが希薄化する以前は、地域の人々と助け合い、支え合う中ではぐくまれていました。しかし、地域の繋がりが希薄化し、家庭や学校が子どもの教育・育成のほとんどを担っている中で、「豊かな心」の育成も学校と家庭の負担が重くなってきています。

学校では道徳の授業や、先生や友人との関係性によって、そして家庭では親から受けた愛情や教育の量によって育まれるようになりました。

しかし、家庭の単位も核家族化や離婚などによってますます小さくなっている中で、子どもが親と過ごせる時間や、それによって受けられる愛情や教育の量も大きく異なってきています。2011年の「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査」によると、父子世帯の5人に1人は子どもと1日に1時間も過ごせていない状況がわかりました。6時間以上過ごせている割合はふたり親家庭と、父子世帯では実に6倍近い差が出ています。また母親の8人に1人は子どもへの虐待に悩んだことがあったり有業母子家庭の1割は子どもに過度な体罰の経験があると答えているなど、親への周囲のサポートも減ってきている中で子どもに十分に愛情や教育を注ぐことに困難や不安を示している家庭が少なくないこともわかります。

格差と「健やかな体」

日本においては、十分な栄養が取れずに命を絶ってしまうケースは少ないかも知れないですが、子どもに十分な食事等を提供しない「育児放棄(ネグレクト)」によって児童養護施設等の保護施設に入所してくる子どもたちは後を絶たない状況です。

日本では貧困などですぐに命を絶つということはないかもしれません。しかし、子どもたちは、親が食事を作り、自分自身の健康管理をする姿などを目にしたことがなかなかなく、自立した後、どのように食事を作り、健康管理をしたらよいかわからず、心身の健康に大きな影響を及ぼし、就業を継続することが難しくなるケースも少なくありません。

また平成20年に厚生労働省が行った子どもの虐待による死亡事例等の検証結果等によると虐待を行った母親は、すでに妊娠期・周産期の時点で何らかの問題を抱えていることがわかりました。「妊婦健診未受診」で31.3%、「母子健康手帳の未発行」が29.9%という報告があり、ここからも早期から十分な健康状態や、健康を管理する体制が整っていないことがわかります。このように、子どもたちは生まれた環境の経済的状況や、余裕等によってこれからの社会を生き抜いていく上で必要とされているあらゆる力が身につかなくなってしまっているのが現状です。

さらにそのような力が身につかないことによって自分自身を責めたり、自信や意欲をもなくしていく、意欲や希望の格差にもつながりかねません。

『子育ては家庭が基本』だと思いますが、それが難しい時代であるともいえます。子育て問題も第三者の介入が難しい問題ですが、身近な問題ということを認識していただけたらと思います。

~うきは市不登校・引きこもりミーティング2014②市民向け講座~
虐待を受けた私から、伝えたい真実・メッセージ

今やニュース等でもよく聞く児童虐待。児童虐待件数は年々増加し続け、児童相談所の統計では2013年に7万3000件を超えるまでに増加しています。
子どもたちが傷つき、命が失われつつある現状も未だあります。

不登校やひきこもりと虐待の因果関係がないと感じるかも知れませんが、家族・子育て等と直結している虐待問題は大きく関係しています。

今回、18年間虐待を受け続け、脱して9年経った現在、経験を元に講演活動を行っている方を講師に招き、真実・今感じることなど当事者のリアルな声をお話いただきます。

日時 平成26年11月22日(土)13:30~15:00
場所 うきは市総合福祉センター 2階 大会議室(うきは警察署 西側)
講師 桜来 美波 氏
(福岡市こども総合相談センター ピースフル ピアサポート)
※現在メディア(NHK)・新聞等で取材を受け、実体験を伝える取り組みを行っています。
参加費 無料
定員 80名程度
申込締切 平成26年11月20日(木)

参加ご希望の方は、下記まで事前に申し込みください。

【問合せ先】
うきは市社会福祉協議会 吉井事務所
電話:0943-76-3996