社会福祉法人うきは市社会福祉協議会

声・手・心 つないで人の輪 地域の和

福祉委員かわら版

168 令和1年8月1日 発行

2025年に65歳以上の高齢者の約5人に1人が『認知症』になる可能性があると予測されている今、「もしも、親や身近な人、または自分が認知症になったら、どうすればいいのだろう…」そんな不安・疑問を抱いたことが誰にでもあるのではないでしょうか。

グラフ:「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」
(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 九州大学 二宮教授)による速報値より

そもそも、『認知症』とは?

認知症は、老化によるものとして見過ごされがちですが、脳の障害によって起こり、生活に支障が出ている状態を言い、誰でもなる可能性のある「病気」です。

病気だからこそ、早期に気づくことで、症状の進行を緩やかにしたり、安心して暮らせるような、適切な対応が必要になってきます。

認知症の症状
~「もの忘れ」の違い~

年をとれば誰でも、思い出したいことがすぐに思い出せなかったりしますが、「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」には違いがあります。

  加齢によるもの忘れ 認知症によるもの忘れ
体験したこと 一部を忘れる
例)朝ごはんのメニュー
体験そのものを忘れる
例)朝ごはんを食べたこと自体
もの忘れの自覚 ある ない
探し物に対して (自分で)努力して見つけようとする 誰かが盗ったなどと、他人のせいにしてしまう
日常生活の支障 ない ある
症状の進行 極めて徐々にしか進行しない 進行する

表にあるように、例えば、体験したこと自体を忘れてしまったり、忘れたことの自覚がなかったりする場合は、認知症の可能性があります。

認知症の方本人の気持ち

認知症の方は何も自覚がないわけではなく、もの忘れや失敗が増え,「何かがおかしい」、「もしかしたら認知症ではないか」、「人に迷惑をかけているのではないか」と思い始め、様々な症状により自分がこれまでとは違うことや周囲の反応の変化に対して、不安を感じるようになるそうです。

また同時に、「自分の体験していることを分かってほしい」、「できないことを責めないでほしい」、「まだまだ人の役に立ちたい」との思いもあることから、「認知症だから何もわからなくなる」と思うのではなく、本人の行動や思いを理解し、大切にすることを、まわりの人達(見守る人達)も心がける必要があるのではないかと思います。

公益財団法人「認知症の人と家族の会」のホームページに、「認知症になっても、できることをして、存在理由を確かめながら生きていきたい気持ちは、普通の人より人一倍強い」という認知症の当事者の方の声が掲載されていました。

役割や生きがいを持って生きたいという思いは、認知症の方だけではなく、誰にでも共通することだと思います。

認知症の方への接し方

認知症の方に接するときは、次の「3つのポイント」を心がけて接しましょう。

  1. 驚かせない
  2. 急がせない
  3. 自尊心を傷つけない

認知症による症状があっても、その方の感情やその人らしさは残っています。周囲の人たちがこれらを意識することで、認知症の方が安心して穏やかに過ごすことができます。

国が示す認知症施策の柱は、『共生』と『予防』

今年6月に認知症施策推進大綱が国によってとりまとめられ、その柱として『共生=認知症の方が暮らしやすい社会を目指す』、『予防=「認知症にならない」ではなく「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」こと』の2点が掲げられています。

認知症の症状や進行の具合は、個々により差があります。また、その方への対応も様々であり、一つではありません。

現在、うきは市では、市内の社会福祉法人等の協力で、よりあい等において、出前講座を開催していただいています。その中では、認知症をテーマとした講座もあり、特徴や対応方法を知る機会になっているようです。

『知は力なり』といいますが、自分自身・家族・ご近所の方が認知症になった時を考え、まずは、認知症の特徴をよく知り、お互いに関心をもって声をかけあえる関係を築くことは、『共生』できる社会づくりと早期発見につながる『予防』へとつながっていくのではないでしょうか。

この夏、気を付けたい!熱中症の注意点

熱中症は、乳児から高齢者まで年代を問わずかかる病気ですが、特に高齢者が多く、平成30年の5~9月に熱中症で救急搬送された患者のうち48.1%が、65歳以上の高齢者であるという数値が出ています。

なぜ、高齢者の熱中症が多いのか?

①体内の水分不足

体の中の水分量が若年者と比べると低くく、脱水状態に陥りやすい

②暑さを感じにくい

暑さやのどの渇きを感じにくくなる等、体が出すSOS信号に気づきにくい

③暑さに対する調整機能の低下

体温調節機能の低下により、体に熱がたまりやすく、若年者よりも体への負担が大きくなる

予防のためにできること

  • こまめな水分補給を心がける
  • 部屋の風通しをよくする
  • 涼しい場所で過ごすことを意識する
  • 散歩など無理のない範囲で外に出て、『汗をかく習慣をつける』ことも大切

 

熱中症は、外出時だけでなく、室内、入浴時、就寝時など、様々な場面で起きる可能性があります。今年の夏は、『冷夏』と言われていましたが、7/24頃の梅雨明けとともに、日差しも強くなってきました。

この夏も油断することなく、熱中症予防を心がけましょう!

よりあいや訪問時等では、「お変わりありませんか」、「こまめに水分補給してくださいね」と熱中症予防の声かけに、ご協力いただければと思います。また、福祉委員さん自身も、お気を付けください!