福祉委員かわら版
235号 令和7年9月1日発行認知症の日 認知症月間

平成6年、「国際アルツハイマー病協会」(ADI)は、世界保健機関(WHO)と共同で毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定し、この日を中心に認知症の啓発を実施しています。
また、わが国でも、令和6年1月「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行され、国民の間に広く認知症についての関心と理解を深めるために、9月21日を「認知症の日」、9月を「認知症月間」と定めています。
近年、全国的に高齢化が進行するとともに、認知症と診断される方も増加しています。
厚生労働省によると、65歳以上の高齢者を対象とした令和4年度の調査推計では、認知症の方の割合は約12%、認知症の前段階と考えられる軽度認知障害(MCI)の方の割合は約16%とされ、両方を合わせると約28%と、高齢者の3人に1人が認知機能に関わる症状があることと推測されています。
また、認知症は、高齢者が発症するものだと思われがちですが、65歳未満で発症する認知症は「若年性認知症」と呼ばれ、年齢を問わず、認知症は誰もがなり得るものだと考えられています。
「自分や家族等の身近な人が認知症になったら、どうしたらいいのだろう」「そもそも認知症ってなんだろう」などと不安や疑問を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、認知症について取り上げたいと思います。
認知症とは…

認知症は、様々な原因により脳の神経細胞の働きが徐々に変化し、認知機能(記憶や判断力等)が低下し、日常生活に支障が出る状態をいいます。
認知症の初期症状として、「物忘れする回数が増えた」「判断や理解力が衰える」「時間や場所がわからない」「人柄が変わる」「不安感が強い」「意欲がなくなる」等があります。
年を重ねると、思い出したいことをすぐに思い出せなかったり、新しいことを覚えるのが苦手になったりします。このような「加齢によるもの忘れ」と認知症には違いがあります。下記の表にまとめました。
加齢によるもの忘れ | 認知症によるもの忘れ | |
---|---|---|
体験したこと | 一部を忘れる 例)朝ごはんの献立を忘れる |
全てを忘れる 例)朝ごはんを食べたこと自体を忘れる |
もの忘れの自覚 | ある | ない |
曜日や場所の認識 | 日付や曜日を間違えることがある | 日付や曜日、場所などがわからなくなる |
症状の進行 | 極めて徐々にしか進行しない | 進行する |
上記の内容は、違いの一例です。
また、認知症とよく似た症状の病気(うつ等)もあるため、早期に適切な診断を受けることが大切です。

自分自身、家族や友人等の身近な人で思い当たることがありましたら、認知症の初期症状かもしれませんので、専門機関や医療機関にご相談ください。
認知症の方の気持ちと認知症のイメージ
~新しい認知症観~

認知症の方は、今までやっていたことがうまくいかなくなることなどが徐々に増えていき、「何かがおかしい」と思い始めます。
今までの自身との違いや、周囲の反応の変化等に対する不安から無気力になる、やり場のない怒りから「誰かが自分を陥れようとしている」と被害的な思考になるなど、様々な症状が現れる場合もあります。
同時に、「認知症になっても、自分らしい生活を続けたい」「これからも人の役に立ちたい」等の思いを持っています。
認知症のイメージと新しい認知症観

認知症のイメージとして、「認知症になったら何もできなくなる」「本人が決めるのは無理」「支援する側・支援される側」等を想像される方がいらっしゃるのではないでしょうか。
このようなイメージから、認知症になった本人と周りの人とに距離や壁が生まれ、認知症になる前の関係性が崩れることで、お互いに同じ地域で暮らしていくことに難しさが生じてしまうことがあるようです。
こうした状況を踏まえ、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の中で、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らせる社会の実現を目指すため、「新しい認知症観」が示されました。
「新しい認知症観」とは、認知症になったら何もできなくなるのではなく、認知症になった人もできること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間とつながりながら、希望をもって自分らしく暮らし続けることができるという考え方です。

現在、うきは市では、認知症に関する様々な施策が進められていますが、その中の一つに市が行う認知症サポーター養成講座や、社会福祉法人等による認知症をテーマにした出前講座があり、よりあいや研修会等の地域で集まる機会に行われています。
これらの講座は、認知症の症状や認知症の方への関わり方を皆さんで学び、認知症について理解し、自分事として考える機会になっているようです。
このような機会は、新しい認知症観へと変わっていくきっかけとなり、認知症の方も含め、誰もが社会に参加でき、自分らしく過ごしていける地域づくりへとつながっていくのではないかと思います。
よりあい等の地域で集まる機会がありましたら、出前講座や認知症サポーター養成講座等をぜひご活用ください。
※市による認知症サポーター養成講座につきましてはうきは市役所西別館 保健課 介護・高齢者支援係、市内社会福祉法人による出前講座につきましては本会吉井事務所までお問合せください。
- 連絡先
- うきは市役所西別館 保健課 介護・高齢者支援係
- 電話
- 0943-75-4960
- 連絡先
- うきは市社会福祉協議会 吉井事務所
- 電話
- 0943-76-3977