社会福祉法人うきは市社会福祉協議会

声・手・心 つないで人の輪 地域の和

福祉委員かわら版

236 令和7年10月1日発行

現在、全国的に少子高齢化が進んでおり、世帯構成や生活様式の変化などから、高齢者の一人暮らし世帯が増えています。
国立社会保障・人口問題研究所によると、65歳以上の一人暮らし世帯は、令和2年は約22%、令和32年には約29%とされ、今後高齢者の3人に1人が一人暮らしになることが推測されています。
本来、長生きすることは喜ばしいことではありますが、将来一人暮らしになったときを考えると、お金に関すること、医療・介護に関することなど、生活上での不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
近年、健康なうちに自身の今やこれからの生活を見つめ直し、家族や専門家等に共有・相談するといった「終活」が注目されています。

今回は、この「終活」について取り上げたいと思います。

『終活』とは…

「終活」は、一説によると週刊朝日にて、「就職活動」を略した「就活」をもじって作られた造語として使われ始めたそうです。
当初は、葬儀やお墓の準備といった「人生の終わりに向けた準備」を意味していましたが、現在では「人生の終わりについて考えることを通して、今を自分らしく生きるための活動」というポジティブな意味合いでとらえられ、様々な場面で取り上げられています。
終活は、大まかに4つのことを準備します。

①お金やもの

自身の財産や所有物、身の回りのものを整理する。また、相続トラブル等を防ぐために、遺言書の作成なども大切です。

②医療や介護

かかりつけ医、既往歴、終末期医療や認知症になった時の要望等について、家族などと共有・相談する。

③葬儀やお墓

自身が望む葬儀や供養方法等について考え、家族などと共有・相談する。

④自身の思いや思い出

アルバムや日記の整理、今まで行きたかったところに旅行するなど、今までの生活を振り返り、自身の思いを形に残したり、新しい思い出を作る。

この4つのことを準備することで、自身の気持ちを整理し、「今後やりたいこと」など、これからの生活について考える機会や、死後の家族等への負担を軽くすることにつながります。
これらのことを整理し、家族等と共有する方法の1つとして、「エンディングノート」があります。

『エンディングノート』とは…

「エンディングノート」とは、法的な効力はありませんが、先程紹介した4つのことなどを1冊にまとめられるもので、自身で書き込む様式になっています。
「老後はこう過ごしたい」「葬儀はこうしたい」などを事前に書き込み、大事な人に伝えておくことで、万が一のときに慌てず、これまでの人生を振り返ることにつながります。また、振り返りの中で、今後どのような地域でどのように過ごしていきたいかを考える機会にもなります。

このような機会から、地域の皆さんそれぞれが過ごしやすい地域を想像し、地域全体で共有・考えていくことで、誰もが自分らしく過ごしていける地域づくりにつながっていくのではないかと思います。

本会では、わたしのこと(自身のことやご縁)・これからのこと(葬儀の事前準備)・遺言関係や役立つ制度をまとめた「縁ディングノート」を、うきは斎場利用者や終活セミナー等の市民向け講話の際に配布しております。
また、よりあいや研修会等の地域で集まる機会に、終活をテーマにした出前講座を行っています。
出前講座を活用する際は、本会吉井事務所までご連絡ください。

本会からのお知らせ

終活では、様々なことを準備しますが、近年、特に注目されていることが住宅についてです。
「不動産の相続登記がされておらず、手続きが大変だった」「亡くなった後の遺品が整理できない」など、様々なトラブルや困りごとが増えているようです。
そこで、専門家からお話いただく機会として、11月21日(金)「令和7年度終活セミナー」を開催します。
今回は、空き家アドバイザーの淀川洋子氏をお招きし、人の終活だけでなく、亡くなった後の持ち家についても話していただきます。
講話を通して、終活に対する考え方や終活の具体的な方法などを皆さんで学ぶ他、今後終活に活用できる写真撮影の時間も設けています)。

ご興味がある方は、参加してみてはいかがでしょうか。